凪いだ風の交差点

凪いだ風の交差点/由布院鬼怒川熱史

 

 

 

2人 凪いだ風のように 佇む時間(とき)が

   日々の中 そっと流れてゆく

 

熱史 あの角を曲がった先 長い階段の下で

   ”おはよう”と交わしたなら 今日の始まり

煙  約束は似合わないな 自然と揃う歩幅には

   あのくだらない話の 続きをしよう

 

熱史 少しきまじめな俺だけど

   お前となら軽く笑えるから

 2人 急ぐのは惜しいのさ ゆっくり歩こう

 

2人 凪いだ風のように 佇む時間(とき)を

   なんとなく温かいって思うんだ

   そうは言わずに上る階段の

   向こうから朝の陽が 俺たちを照らす

   なにも変わらない二人でそっと

   笑い声を転がそう

 

 

煙  けんかしてた一日は 誰かのせいだったけど

   ”ごめん”とちゃんと言うから 終わりにしよう

熱史 俺たちに似合わないさ あんな怒鳴り合いなんて

   あのくだらない話を もう一度しよう

 

煙  めんどくさがりな俺だけど お前がいなきゃやっぱ違うから

2人 失くせはしない絆 また結び直そう

 

2人 小さな花のように ささやかなほど

   それこそがかけがえないって思うんだ

   そうは言わずに 下る階段の

   正面の夕焼けが 俺たちを包む

   なにも変わらない明日も二人できっと

   小さな花見つけよう

 

 

熱史 何百度目の通学路を

煙  二人退屈を蹴飛ばし行けば

2人 なにもないこの時間(とき)も 思い出に変わる 

 

2人 凪いだ風のように 佇む時間(とき)を

   これからもずっと続けてゆくんだろう

   まだ見えない 長い階段の

   その先も その先も 遠い明日までも

   なにも変わらない今日も二人でそっと

   笑い声転がしてゆく

   凪いだ風が吹いてゆく